2002-12-01から1ヶ月間の記事一覧

暗夜航路

艦内は修羅場だったようだが、その後私もその修羅場に巻き込まれ、意識を回復するとなぜかそこは赤羽の安居酒屋であった。見回すと、私同様奇跡的に脱出した乗組員が数名、横たわっている。他の奴らはどうなったのだろうか。言うまでもなく、艦と運命を共に…

納めの日

仕事納め、本年最終日の本日は、皆机に向かって手を動かしてはいるようだが、目が死んでいるのであった。なんだかさっさと帰って行くなあ。またいつものように、一人フロアに残される。並んでいるPCの電源を、一台ずつ落とす。(私がこの階の電源権を握っ…

新宿にて

「伊勢丹百貨店大古書市」に赴く。久々である。会場に足を踏み入れると、主としておじさん達のマイナーな熱気がムンムンと溢れており、気合い負けしそうになるが、踏みとどまり突進。しかし事前に申し込んでいたものは悉く抽選に外れ、がっくり。こういう時…

伊兵衛翁リスペクト

木村伊兵衛『小型カメラ写真術』(朝日ソノラマ刊)を読む。昭和初年に刊行されたものの復刊だが、一読、驚くほど明晰な文章に引き込まれる。この人はごくあっさりしたスナップの名手であり、その手法に理論的バックグラウンドを与えるなどという行為はその…

深夜のB

真夜中にTVでタングルウッド音楽祭のドキュメントを放映していた。小澤征爾が学生オケ相手にバルトークの「管弦楽のための協奏曲」を振っている。見るともなく見ているうち、音楽に引き込まれる。バルトークは、不思議な音楽家だ。その音楽は、誰かに似てい…

瓦の青春

この2日、深夜泥酔して電車内を徘徊している。そういう季節である。しかし昨日、足元のおぼつかぬ私の目の前に座ったニット帽にド金髪、マスカラぐいぐいで真っ白な長いマフラーぐるぐる巻き、ジーンズをでかいブーツに突っ込んだ、要するにいまどきの若い…

誤植談義

電車に乗っていたら、ふと「沿線病院案内」という広告に目がとまった。何の気なしに眺めていたら、ある病院の案内に「人間ドッグ」とある。人面犬か。しかし試みに検索したら、「ドック」374件に対し犬派が13件存在する。一定の勢力を保っているのである。か…

生きてゐる亂歩

このところ乱歩づいていて、本郷の弥生美術館まで「江戸川乱歩と少年探偵団展」を観覧に赴く。入館してすぐ、小林少年が仏像に変装して怪人二十面相のアジトに潜入するなどというビッグイヴェントを記憶の底から掘り起こされてしまい、ありえねえと呟く。挿…

妄想閣残念堂

某所で明治の文献をひっくり返していると、昔の版元名の無体ぶりに笑いが止まらなくなって仕事にならん。「岡本偉業館」「天下堂」「報告堂」「吐鳳堂」「努力世界社」「裁縫成功舎」等々、誇大妄想狂の怒鳴り合いのようだ。今となっては、これらの愛すべき…