2003-08-01から1ヶ月間の記事一覧

もだえる鰐

アートンから『踊りたいけど踊れない』(寺山修司著・宇野亜喜良絵)が出て、あまりに唐突だったので、吃驚して購入。頭の片隅から離れることのなかった記憶と再会する。 ミズエは1と書くつもりだったが、手は2と書いてしまう。ヴァイオリンのお稽古のとき…

保存≒標本化

早朝、東京駅丸の内口にて、ちょっと前に竣工した日本工業倶楽部会館の改築/増築工事を検分する。横河民輔一味設計の佳作のファサードと内部ロビーだけを残して、背後に高層ビルをぶち建てた物件である。結論からいえば、ギリギリ合格ではないか。無論こう…

帰省中にて

実家の小さな書棚は、最早混交して、家族の誰が購ったものかわからぬ書籍類が無秩序に突っ込んである。以前も書いたような気がするが、我が母は私が失踪している隙に彼女にとっては紙屑同然の我が蔵書を疾風のように段ボールに詰め、ミッション系の児童養護…

盂蘭盆会in山嶺

終戦記念日、なぜか日本三景厳島神社の背景に聳える宮島随一の霊山、弥山の山頂で呆然としているわけだが、盆も盛りだというのに寒風吹き荒れ、人影もない午後5時半である。荒涼たるものである。正確に言うと、山頂から数十メートル下にある小振りな平坦地に…

本日飯田橋にてお好み焼きを食して突如甦る記憶

同級生のU君が、4トロ(新左翼セクト「第4インター」の通称)の機関誌を教室に持ってきて昼休みに見せびらかしていたので、ネタの張り合いに敗れるのが口惜しく、放課後さっそく広島大学横にあるウニタ書店に自転車を走らせた。左翼関係書籍が溢れる雑然とし…

夏と修羅

伊勢丹大古書市にて、新宿まで赴く。昨年同様、初日は書痴どものワンダーランドである。ぶつぶつ呟きながら戦前の児童雑誌ばかりカゴに突っ込んでいる長髪の若い男、並べられた絵葉書を超高速スクロールしているカッターシャツの爺さん(糊の利いたそのシャ…

夏の記憶ver.8.6

夏休み例年、この日の朝8時15分になると、市内中に鳴り響くけたたましいサイレンに叩き起こされた。夜更かし癖のつきまくった絶頂の時期、また暑さも絶頂の時期、窓から何から開け放って、汗まみれの浅い眠りの部屋を毎年、サイレンが突き抜ける。同時刻、平…

戦後教育の失敗@勝小吉

少年犯罪花盛りの昨今のようであるが、統計的には終戦直後の方が凄まじいだの、質の変化を見るべきだの、まあ御意見百花繚乱皆それなりに頷ける。しかし今日、勝小吉の『夢酔独言』(平凡社東洋文庫、平凡社ライブラリー)を読んでいると、戦後もクソもなく…