唐突に告知

御無沙汰しております。


……「移設後は更新を頻繁に」云々、斯様な嘘吐きも世に珍らかと申せましょう。


で、本日は、人知れず地元で進行する陰謀を白日の下に晒します。

[パルコ調布キネマ]20周年企画
   大 映 傑 作 選!

「水澄み、時代劇、現代劇に最適なり」

日本映画株式会社によって調布に設立された撮影所は、昭和17年、大日本映画株式会社・東京第二撮影所(のちの大映東京撮影所)となりました。日本映画黄金期に、大映はここから多くのスターを輩出し、映画史に残る名作を製作しました。そのような調布にゆかりの深い大映から、選りすぐりの傑作6本を、調布キネマ開館20周年を記念して一挙上映いたします。

そういうことで上映作品ですが、

・『おとうと』市川崑(1960年)。宮川一夫キャメラマンの例の「銀残し」技法画像の最初例が見られますね。渋いです。川口浩は15歳に見えません。
上映日:5/30、6/4。


・『近松物語』溝口健二(1954年)。個人的には溝口作品の中でも必見の名作と思います。代表作、という気分だなあ。これも宮川キャメラ。よく誤解されますが、本作では甲斐庄楠音は衣裳考証を担当していません。
上映日:5/31、6/5。


・『夜の河』吉村公三郎(1956年)。「女性映画の巨匠」という不思議な呼称を持つ吉村監督の初カラー作。宮川キャメラですね。山本富士子はこの1作で大スターとなり、それゆえ結局は大映を離れることになってしまいます。以て大映倒産の一因と言われるわけですが、そうなると本作は皮肉な大ヒット作ということになりますな。私は未見です。
上映日:6/1、6/6


・『雨月物語溝口健二(1953年)。御紹介するまでもありませんね。ゴダールをして「見始めて5分で涙が出る」と言わしめた美しさ。宮川キャメラ、甲斐庄衣裳、早坂文雄音楽ときたもんだ。で、これも誤解されがちですが、美術監督は水谷浩ではありません。伊藤熹朔。
上映日:6/2、6/7。


・『妻は告白する』増村保造(1961年)。東大法学部卒のエロい巨匠。これを言うと激怒する向きもあろうかと思いますが、私にとって増村監督は大映テレビそのものです!(愛の告白とお受け取り下さい)……いや本作も未見なので感想はいずれまた。
上映日:6/3、6/8。



・『羅生門 デジタル・リマスター版』(1950年)黒澤明
まさにトリに相応しい作品です。
何らかの方法で、今まで本作を御覧になったことのある方に申し上げます。私は先日のデジタル・リマスター版短期公開の上映に駆け付けて、茫然たる思いを味わいました。我々が宮川キャメラがどうのこうのとエラソウに忖度していたのは、何であったのか。この画面こそが、彼の表現したかった絵である。
いいですか。ちょっとアレだけど、こそっと見て下さい。

むろん右が修復後です。マチ子の皮膚が画面から迫ってくる。詳細は省きますが、決してこの修復は「作った絵」ではありません。あくまで修復です。劣化したプリントを見ながら我々は様々な感想を得ていたわけですね。モノクロの場合、カラーの退色に比して(傷などを除いて)大した劣化はなかろうと我々シロウトはなんとなく感じているわけですが、このリマスター版を見て私は仰天してしまいました。──三船敏郎が山中でのたうち、がっと彼の背中がアップになるショットがあります。なんとその背に蛭がぬめっているのがわかり、私は戦慄すら覚えたのでした。
上映日:6/9(火)〜6/12(金)


なお、当時のシナリオ全作品分を展示というオマケまであります! これで各作1,000円ですぞ。まあ、通って下さい。


……ところで、上映時間なのですが、全回朝10:20からの1回のみ! 覚悟せよ! 

http://www.cinemabox.com/schedule/chofu/index.shtml