2002-10-01から1ヶ月間の記事一覧

木下本の指し示すもの

『世の途中から隠されていること──近代日本の記憶』(木下直之著、晶文社)で著者が拾い集めるのは、見世物、造り物、人形、お城、記念碑、ある種の古写真等々である。これらはわれわれの前にぬっと在り続けてきたが、誰一人として注視した者はいないといっ…

Keith

art

青山方面に出かけていた同僚から、そのあたりで開催されている「ストリート・ミュージアム展」の情報を仕入れる。外苑前駅からワタリウム美術館までの青山通りとキラー通りの商業施設等に、ニキ・ド・サンファルやキース・ヘリングなんかの作品が展示されて…

史郎の思い出

昨日下高井戸の駅に向かう途中、興味深い古書店+古レコード店を見つけたが、時間が無く通り過ぎてしまったので、再度赴いた。「バラード堂」という名のその店は、純正サブカルチャー系で、店の作りも古本屋臭くなく、イマドキのカフェっぽい。文芸書の棚に…

小林勇『蝸牛庵訪問記』(講談社文芸文庫)を読む。岩波書店の名編集者の、幸田露伴との密接な交流の記録である。今では信じられないほどのことだが、出版社が新卒の大卒社員を採用し始めたのは、ようやく昭和2年になってからであった(円本で儲けた改造社が…

幻視

「ロートレアモン──ロマン主義から現代性へ」と題する国際シンポジウムが開催されるというので、駒場まで赴く。ロートレアモンという詩人は私のシュルレアリスト時代(笑)のアイドルのひとりで、例のあまりにも有名なフレーズは、高校生の感性にはやはり端…

日本民族論

台風直撃でみんな気もそぞろ、街もなんだか浮き足立っていますね。サラリーマンにとって天災はハレの空間を作りだす装置だから、おとうさんたちは口々に電車止まるよ、早う帰れとうれしそうに若い人に声をかけて回っている。祭りですね。要所要所でオレは泊…