人名問題

『世界史B』(実教出版刊)をいただく。高校の教科書である。

偏向的受験体制に特化した教育を行う高校で育ち、全く世界史を履修していない私は、今になって知識不足に悩んでいるのである。無理を見かねた知人が、業務用の一冊を恵んでくれたのである。
しかし一読して、正直言ってあの時やっぱり履修しなくてよかったと思った。めくるめく固有名詞の嵐。当たり前ですが。海外文学が苦手な昔の人のような素朴な感想である。

当たり前と言えば、西欧の人名がキリスト教の聖人から取られることが多いという事は当然知ってはいたが、教科書巻末の人名対照表が面白い。

チャールズ(英)→カール(独)→シャルル(仏)→カルロス(西)
ジョージ(英)→ゲオルグ(独)→ジョルジュ(仏)
ヘンリー(英)→ハインリヒ(独)→アンリ(仏)→エンリコ(伊)
ジョン(英)→ヨハン(独)→ジャン(仏)→イワン(露)
ルイス(英)→ルートヴィヒ(独)→ルイ(仏)
ピーター(英)→ペーター(独)→ピエール(仏)→ピョートル(露)
ウィリアム(英)→ヴィルヘルム(独)→ギヨーム(仏)

どうだろうか。みんな同じ意味なのである。わかっちゃいるが、こう並べると圧巻である。連中は、みんなグルなのだ。欧米圏というものは、俺お前の仲なのであって、イスラム教徒だの仏教徒だのは一括りの異界の者共なのである。

しかし聖人の名を付けるってのはいいですね。日本で佐藤親鸞とか田中日蓮とか中村空海というのはどうでしょうか。もっと上位なら木村地蔵とか田村観世音とか、なんか名所旧跡だなこれは。