シンポ。そして暗い予言。

午後麹町JCII(日本カメラ財団)にて名取洋之助研究会のシンポジウム。重い本を引きずりながら持ってゆき、展示する。皆さん結構見てくれる。しかしずっとじんじん痺れて手がちぎれそうだ。紙というものは、重いものなのである。

名取の写真は、端的に言って「ヘタ」である、というのが定説であったが、今回のシンポジウムで、金子氏は「6×6はうまい」と主張、実際今回JCIIで展観されている写真を見て私もそう思った。なかなかいいじゃない。

彼の主宰した雑誌「NIPPON」と国際報道工芸という後期の組織、そしてその内閣情報部との関係は、いまだに解明されていない部分が多い。今回のシンポジウムでもその基礎的な事実確認が主であった。参加各氏の情熱が全てである。近代史は様々な事物自体から立ち現れる。「写真」はまさに多種多様な要素を反射する近代史の鏡である。このメディアに、歴史と文化にとって重要な鍵が埋め込まれている。歴史家の誰もそう思っていないようだが。

終了後、会食の席で、この国の公共博物館・美術館のほとんどがこの2年ぐらいの内に実質的な壊滅に向かうだろうという暗い予言がなされ、全員が同意するのを見て戦慄する。そうなのだろうか。どうなの小泉。もういいからさ、あっちは。

復刻版 NIPPON

復刻版 NIPPON