2003-01-01から1ヶ月間の記事一覧

狸蕎麦さらに

世の中には異常人が多いというか、まあそんな言いぐさは失礼とは思うが、狸蕎麦問題について早速レスがつけられた。大正年間に刊行された『東都新繁昌記』に麻布七不思議の一として「古川の狸蕎麦」が挙げられているらしいというのである。通常、狸関係の麻…

狸と塾生

江戸切絵図を見ていて、妙なものを見つける。広尾原、現在の白金の奧の広尾一帯だが、その隅に、ぽつねんと「狸蕎麦」と記されているのだ。江戸のことは詳しくないが、この辺は主に寺社地で、辺りには広い屋敷や寺ばかりだ。名物か何かだったのだろうか。し…

すべての暴力のために

日曜日にABC青山本店で買ったブックレット『フェニミズムから見たヒロシマ』(上野千鶴子他、家族社刊)がなかなか面白い。副題に「『女・核・平和』シンポジウム記録」とあるように、つまりそのようなシンポジウムの記録である。広島の小さな出版社が出した…

日仏微細通商修好条約

午前、在日フランス大使館に赴く。入口で身分証明書をと促され、私は世界に対して証明すべき何物も自らの内に無い、と言いそうになるが、素直に運転免許証を渡す。一体何の権利があって私の免許を取り上げるのだろうか。呼んだのはそちらだろう。などと言う…

初台点景

初台に赴く。駅から地上に出ると、玉川上水を埋めた緑道が、甲州街道沿いに延びている。地下には江戸時代と変わらず、多摩川の水が静かに流れているはずだ。緑道沿いに、妙な風景がある。昔の長屋の一軒一軒が店になったような按配で、ひと気のない素人くさ…

われとわが身に

午前、日本の文芸作品のタイトル話になり、「接着型」の面白さを再興させよという結論になった。『麦と兵隊』。わかりやすい。『海と毒薬』。海に流したら毒は効かないな。『出家とその弟子』。静物画。『春と修羅』。天才の発想。『乃木と西郷』。仁王門み…

見知らぬ評論家

インフルエンザによって奪い去られてしまった時間を悼みつつ、頭痛の残る頭で午前中スタージョンについて話していて、午後鶴見の古本屋で『コスミック・レイプ』(サンリオSF文庫)を発見し、買ったはいいが高い! ……まあサンリオだから仕方がない。中を見る…

東上

新幹線に乗る。いつものように、近江の国、豊郷町を通過する際、目の前でこちらに向かって両手を大きく広げたような豊郷小学校の校舎を確認する。例の校舎保存運動で大揺れに揺れている物件だ。日本人の心根には、どうも伊勢神宮の式年遷宮に見るような、ア…