art

美しき死体について

宮内庁近辺やら何やら、似合わないところをぐるぐるたらい回しで汗みどろ。どうなのだ。夏ではないか。すぐ日焼けするのが不愉快である。地黒なんである。日焼けして一層頭が悪そうに見えるのが余計不愉快である。上野までよろよろ辿り着き、東京国立博物館…

ただ刻んでいた男のこと

art

渋谷の松濤美術館に赴く。「谷中安規の夢」展を参観。展観のサブタイトルに「シネマとカフェと怪奇のまぼろし」とある。昭和初期の彼の作品には版画という表現が本質的に備えている洒脱な芸術性そのものが独自の幻想性と相俟って強く感じられ、30年代の空気…

青騎士の方へ

art

過日小金井で美術古書を扱っているえびな書店から届いた目録は、特集が「1920年代の美術」となっていた。ここの目録は見るところ古書業界の東の大関と言っていいと思うが、カラー口絵まであり、堂々の季刊である。もうなんだか読むだけで勉強になる。値段ま…

高級昼寝館

art

午後、東京芸大美術館まで赴く。 『工芸の世紀』という展観が昨日から始まった。明治期の日本の工芸は、日本画や洋画に比べて忘れ去られたような感があるが、そのマニエリスティックな造形力は実に凄まじく、ウィーンやパリ、シカゴで開催された当時の万国博…

保存≒標本化

早朝、東京駅丸の内口にて、ちょっと前に竣工した日本工業倶楽部会館の改築/増築工事を検分する。横河民輔一味設計の佳作のファサードと内部ロビーだけを残して、背後に高層ビルをぶち建てた物件である。結論からいえば、ギリギリ合格ではないか。無論こう…

晴雨は責め絵だけではありません

伊藤晴雨の『文京区繪物語』(昭和27年・文京タイムス社刊)を古書店で買って読んでいたら、講談社を称して「“講談社末期の水も野間清治”と或る人が云ったのは、偉人野間清治氏に対して怪しからん次第である」という一文があって、腹抱えて笑ってしまった。…

ライトinバクダッド

art

フランク・ロイド・ライトという建築家についてはもう20年ぐらいあれこれ考えているが、今日ある建築家と話していて、このところ誰も言及しない彼の建築計画の事を思い出した。通称「baghdad Project」、文字通りイラクの首都計画である。1957年に彼が取り組…

伯父さんのこと

art

ジャック・タチ伯父さんのことを知人とともに追いかけるあまり、昨年は伝記まで刊行することになってしまったが、いろいろ仕掛けた結果(と言って私は何もやってないが)、どうも今年は本格的にタチブームが到来しそうな勢いだ。6月には東京を中心に『ぼく…

Keith

art

青山方面に出かけていた同僚から、そのあたりで開催されている「ストリート・ミュージアム展」の情報を仕入れる。外苑前駅からワタリウム美術館までの青山通りとキラー通りの商業施設等に、ニキ・ド・サンファルやキース・ヘリングなんかの作品が展示されて…